お久しぶりです!
こつこつやるはずが一か月以上も間が空いてしまいました。
もうだいぶ寒くなってきましたし、冬が来そうです。
冬と言えば、好きな漫画で冬の朝の革靴のコツコツといった音が好きというキャラクターがいるのですが、とても共感できます。
冷えていて澄んだ冬の空気と、コツコツ歩く音の生活感が何ともいいですよね。
といういつ書いたかもわからない下書きを編集して、今日は迅速抗原検査などにおける交差性や偽陽性についてまとめたいと思います。
もう季節はすっかり春になっています(笑)
目次
尿中肺炎球菌抗原検査
まずは尿中の肺炎球菌抗原です。
Binax Now シリーズの説明を引用します。
検出する肺炎球菌尿中抗原検査における留意事項として、他の微生物と交差反応性はないが、共通抗原をもつ Streptococcus mitis による偽陽性がある。肺炎球菌性肺炎治癒後でも、1~3ヶ月にわたって陽性が続く場合もある。
また、小児においては、上気道における常在肺炎球菌により偽陽性を示すことが報告されており、鼻腔保菌例で50% 程度の偽陽性を示すことも報告されている。さらに、肺炎球菌ワクチン接種後は、偽陽性を示す可能性もあり、ワクチン接種後5日間は検査を行わないことが推奨されている。
ふむふむ。
- 治癒後も陽性が続く
- ワクチン接種でも陽性となる
この辺はポイントかもしれませんね。
因みに性能は、
感度 70 ~ 80%、 特異度 94 ~ 99%(肺炎球菌のほとんどの血清型を検出可能)程度である。
であり、一方喀痰中肺炎球菌抗原検査はというと「ラピラン肺炎球菌」という製品において、
成人下気道感染症160 症例あまりを対象とした検討では感度89.1%、特異度95.3% であった3)(表3)。さらに、尿検体が同時に採取できた142 症例で尿中抗原検査と直接比較したところ、特異度はほぼ同等、感度が有意に高かった 3)。
となっており、喀痰からの検出の方が感度が高いようです。
当院では尿中はほとんど使っておらず、喀痰で肺炎球菌抗原検査を行っています。
尿中レジオネラ抗原検査
続いて尿中レジオネラ抗原です。
一般的には尿中抗原は感染の急性期に検出されやすく,発症から2週間以内の検体で検査を行うのが望ましい。一方,一部の症例では治癒後も体内に菌体抗原が残存することにより長期間尿中抗原が陽性を示す場合もある。そのため肺炎が軽快しても1カ月以上尿中抗原が検出される例もまれではない。レジオネラ肺炎患者ではしばしば再燃がみられるが,本検査では菌体抗原が長期間体内に残存したために陽性反応を示したのか,あるいは再燃による陽性反応かは判断し難い。
引用:モダンメディア 50巻4号 2004〔新しい検査法〕「尿中レジオネラ抗原検査」村上 日奈子
こちらも肺炎球菌抗原検査同様に、
- 治癒後も陽性が続く
ようですね。
因みに、以前はLegionella pneumophilaの血清型1型しか引っかけられなかったのですが、今は全血清型(15種類)を引っかけられるキットが広く使用されています。
日本の温泉施設等での感染の約半数が血清型1型とのこと(http://www.nobuokakai.ecnet.jp/nakagawa192.pdf)ですので、以前はだいぶ取りこぼしていたことになりますね。
CD抗原検査
Clostridioides difficileの検出には、C.DIFF QUIK CHEK COMPLETE(アリーア メディカル(株))が広く用いられていると思います。
こちらの添付文書には、Clostridium sordelliiと交差性を示すと書かれています。
うろ覚えですが、認定試験の交差性を示す菌種の組合せを選ぶ問題の選択肢にこれがあった気がします。
血清β-Dグルカン
真菌感染のマーカです。
偽陽性要因は以下の通り。
- アルブミン製剤やグロブリン製剤の使用
- 外科的処置のガーゼ使用
- セルロース膜を用いた透析膜での血液透析
- 高度溶血検体
- 高ガンマグロブリン血症患者
- Alcaligenes faecalis敗血症 患者
- 環境中β-Dグルカンの混入
因みに、真菌感染症でもCryptococcus感染症、Mucor属感染症、そして表在性のAspergillus感染症ではβ-Dグルカンは上昇しません。
IGRA
結核菌の検査の一つである IGRA(interferon-gamma release assay:IGRA)に関して過去記事ありますので良ければこちらもどうぞ。
最後に
はい、各種検査の偽陽性についてやりました!
普段淡々とこなしてしまいがちな迅速抗原検査ですが、その解釈については知っておかなければいけないですよね。
では、今回もお疲れさまでした!