こんにちはー!
また東京を中心に全国でコロナ陽性者が増えてきましたね。
4月、緊急事態宣言が発令されていたあの頃はなかなかしんどかったですが、今はマスクやガウンなど不足していた物資が補充され、各医療機関でもPCRを実施できる体制となりつつあります。
さらに、今回は前回の経験もありますので、「あの頃とは違う」というところを見せつけてやりたいですね!!
では、今回はβ溶連菌の問題をやりましょう!
肺炎球菌のようなα溶血性レンサ球菌も出てきますよ。
目次
※便宜上、問題の選択肢を小見出しとしています。
問題の選択肢ですので正しい情報とは限りませんご注意ください。
国試
第64回(2018年)臨床検査技師国家試験
問題73
Streptococcus属について正しいのはどれか. 2つ選べ.
- S. mitisは胆汁溶解試験テスト陽性である.
- S. pyogenesはLancefieldのG群抗原を有する.
- S. agalactiaeは馬尿酸加水分解テスト陽性である.
- S. pneumoniaeはオプトヒン感受性テスト陽性である.
- S. dysgalactiae subsp. equisimilisはCAMPテスト陽性である.
引用:矢富裕、他(2018)『検査と技術 vol.46 no.6』医学書院(697)
答えは3と4です。
1.S. mitisは胆汁溶解試験テスト陽性である.
S. mitisは口腔内に常在しているα溶血性のレンサ球菌です。
通常病原性は高くありませんが、血液疾患患者の抗ガン剤や免疫抑制療法などの易感染状態では敗血症も起こします。
胆汁溶解テストは、α溶血性レンサ球菌の中でS. pneumoniae(肺炎球菌)かそれ以外かを鑑別する試験です。
胆汁(10%デオキシコール酸ナトリウム溶液)によって肺炎球菌の自己融解が促進される性質を利用します。
胆汁溶解テスト
陽性:S. pneumoniae
陰性:S. pneumoniae以外
S. mitisは胆汁溶解テスト陰性です。
よって誤り。
2. S. pyogenesはLancefieldのG群抗原を有する.
S. pyogenes(化膿レンサ球菌)はA群溶連菌です。
よって誤り。
他のβ溶連菌との鑑別で、
・バシトラシン感性
・PYR陽性
ときたら S. pyogenesですね。
国試以上の試験では、他にPYR陽性のβ溶連菌としてS. porcinus、S. pseudoporcinusを覚えましょう。
3. S. agalactiaeは馬尿酸加水分解テスト陽性である.
正しいです。
馬尿酸加水分解テストは、馬尿酸を安息香酸に加水分解するかを見ます。
今、β溶連菌の鑑別に実施している施設はどのくらいあるのでしょうか。
β溶連菌において馬尿酸分解試験陽性ならばほぼS. agalactiaeなのですが、S. agalactiaeはまたLancefield分類でB群ならばヒト臨床検体ではS. agalactiaeと同定できます。
馬尿酸分解試験は培養が必要で時間を要しますが、Lancefield分類はラテックス凝集反応で1時間以内にできますので、馬尿酸加水分解テストよりもLancefield分類の方が使い勝手がいいですよね。
他に馬尿酸加水分解テストは食中毒菌であるCampylobacterの鑑別に使われます。
4. S. pneumoniaeはオプトヒン感受性テスト陽性である.
正しいです。
オプトヒン感受性テストは胆汁溶解テスト同様、α溶血性レンサ球菌の中でS. pneumoniae(肺炎球菌)かそれ以外かを鑑別する試験です。
オプトヒン感受性テスト
感性:S. pneumoniae
耐性:S. pneumoniae以外
判定結果も胆汁溶解テストと同様ですので覚えやすいですね。
国試レベルを超える知識として、
- 稀にオプトヒン耐性株がある
- 好気条件下の培養では S. pseudopneumoniae も感性となる
上記二つを覚えましょう。
S. pseudopneumoniaeは5%CO2環境下で培養すると耐性となります。
培養条件大事ですね。
5. S. dysgalactiae subsp. equisimilisはCAMPテスト陽性である.
CAMP試験結果は前回記事にまとめてありますのでご参照下さい。
S. dysgalactiae subsp. equisimilisはCAMPテスト陰性です。
よって誤り。
むしろCAMP陽性ときたら国試ではまずS. agalactiaeです。
国試レベルを超えるとS. porcinus、S. pseudoporcinusが陽性で出るかもしれません。
終わりに
一個一個選択肢やっていくとけっこう文字数いきますね。
これで大体2000文字。
以前ブログの文字数の目安を調べた時、例えばある広告を載せる審査に通るには記事の文字数が1000~2000文字程度はいるというのを見て、そんなに書けませーんと思っていましたが、意外といくもんですね。
二級資格試験もやるつもりでしたが、疲れてきたので一区切りにして次回にしたいと思います。
では、お疲れさまでした!