こんにちは!
最近ツツガムシ病の患者さんがいましたので、関連で今回はリケッチア症についてまとめます。
ツツガムシは山、川などの野外に生息するダニの名前です。
ですが、ツツガムシ病はこのダニが直接の病原体なわけではありませんね。
ダニによって媒介される細菌、Orientia tsutsugamushiが原因菌です。
私の住む地域は地方で山が多く、畑に入る人やバーベキューやキャンプなど山の民を満喫する人が多いのでツツガムシ病もそこまでレアではありません。
私自身も川原でバーベキューや釣りなどもしますので、しっかり勉強したいと思います。
目次
リケッチアの特徴
まずはリケッチアの特徴です。
- グラム陰性の球桿菌
- 偏性細胞内寄生菌
- ダニやノミ、シラミなどの腸管内に寄生
何と言っても一番の特徴は偏性細胞内寄生菌だということです。
リケッチアは無細胞の人工培地での培養はできません。
培養する場合は、マウスやモルモットに患者血液検体を接種したり、発育鶏卵を用いたりします。
実際に行われる検査のほとんどは血清学的診断法や遺伝子診断法です。
他の特徴として、
- 細胞壁をもつ
- 2分裂で増殖する
- DNAとRNAをもつ
- 発熱、皮疹、倦怠感、頭痛、全身痛など症状は非特異的
- 第一選択薬はテトラサイクリン
- 検査検体は全血(PCR用),血清(抗体検査用)、痂皮(PCR用)
などがあげられます。
リケッチアの種類
ちょっと下手な字のノートですが、リケッチア目の分類はこのようになっています。
さらに、この中で注目されるのは以下のものです。
リケッチア属
- Richettsia prowazekii(発疹チフスリケッチア)
- Richettsia typhi(発疹熱リケッチア)
- Rihettsia rickettsii(ロッキー山紅斑熱リケッチア)
- Richettsia japonica(日本紅斑熱リケッチア)
オリエンチア属
- Orientia tsutsugamushi(ツツガムシ病)
ネオリケッチア属
- Neorichettsia sennetsu(腺熱リケッチア)
この菌名と疾患名なんですけど、、
発疹チフスリケッチアの原因菌がチフスを想起する名前のRichettsia typhiではなく、Richettsia prowazekiiなのすごく紛らわしいですよね。
一致してると覚えやすくて嬉しかったですけど仕方ないです。
一致していないと意識しましょう。
これらリケッチア症の中でも、今回は四類感染症に含まれるものをまとめていきます。
四類感染症のリケッチア症
Q熱の原因菌はCoxiella burnettiです。
Coxiella属は以前Rickettsia科に分類されていましたが、現在は遺伝学的にはLegionella属の類縁菌とされています。
Orientia tsutsugamushi(ツツガムシ病)
ツツガムシ病は、ツツガムシというダニの幼虫に刺咬されることによりOrientia tsutsugamushiに感染することで発症します。
- ツツガムシ(ダニ)による媒介
- 潜伏期間は5~14日
- 体幹に発疹→四肢に発疹
- 発生数のピークは春と秋
引用:NIID国立感染症研究所HP ツツガムシ病とは
ツツガムシは夏に産卵します。
卵は秋に孵化するため、幼虫が増える秋にツツガムシ病の発生件数が増えます。
一方、ツツガムシの幼虫は寒さに弱いため、東北など気温の低い地域では秋にすぐ土の中に入り冬を越します。
その幼虫が春に活動を再開するため、東北・北陸で春にツツガムシ病の発生件数が増えるわけです。
昔は新潟、山形、秋田などの風土病とされていたようですが、今は全国どこでも発生します。
Richettsia japonica(日本紅斑熱リケッチア)
Richettsia japonicaもダニによって媒介されます。
- マダニによる媒介
- 潜伏期間は2~10日
- 発疹は四肢優位
- 発生は春~秋
ツツガムシ病の発生数は春と秋の二峰性ピークがあるのに対し、日本紅斑熱の発生数は春から秋まで多く続きます。
発生は四国、九州を中心にそれ以外の地域でも見られます。
Richettsia prowazekii(発疹チフスリケッチア)
シラミは通常吸血時に排便します。
この便中にRichettsia prowazekiiが含まれ、刺し傷を掻いたりシラミを潰したりする際に体内に菌が取り込まれ感染します。
Coxiella burnetti(Q熱)
Q熱の病名の由来は、Query fever(不明熱)です。
- 媒介はマダニ、シラミ、ハエなど
- ヒトへの感染源はウシ、ヒツジ、ヤギ、ネコなど
- 他リケッチア症と違い発疹は稀
- 急性期はインフルエンザ様
- 慢性期は心内膜炎
フリー素材から羊、かわいいですね。
Coxiella burnettiは、汚染された非殺菌の乳製品や生肉の摂取による経口感染です。
また、Coxiella burnettiは感染動物が妊娠した際に胎盤内で増殖しますので、
感染動物のお産の時にヒトへの感染が起こります。
汚染獣皮や毛皮類の塵埃の中の菌の吸入による経気道感染もあります。
終わりに
はい、リケッチア症についてやりました。
ダニやシラミの画像を載せるか迷ったのですが、体がかゆくなってきたのでやめました。
ただ媒介動物を見ておくと印象づきますので良ければ一度ググってみて下さい。
体がかゆくなりますけど笑
あと今回触れませんでしたが、リケッチアの検査といえばワイルフェリックス反応ですね。
何かしらの過去問題に必ず出てるでしょうから今度取り上げたいと思います。
では、お疲れさまでした!