こんにちは!
先日アマプラで映画「ワンピース スタンピード」を見ました。
夢に前向きで強敵にも折れないルフィ達の姿勢がすごくかっこよかったです。
映画は心をリフレッシュしてくれるし、人生を豊かにしてくれるものの一つだと思います。
皆さんもおうちで一本いかがでしょうか。
さて、今回は「検査と技術Vol.49 No.5」に取りあげられていたので接合菌についてまとめます。
目次
接合菌とは
接合菌は真菌の一種です。
環境中や食品、糞など様々な有機物上に生育しています。
臨床で出会うものとして、
- Mucor属(ケカビ)
- Rhizopus属(クモノスカビ)
- Rhizomucor属
- Litheimia属
などがあります。
アスペルギルス属やペニシリウム属など他の真菌のように、接合菌も見た目に特徴があります。
↓こちらはMucor属の成熟胞子嚢。
引用:File:Mature sporangium of a Mucor sp. fungus.jpg - Wikimedia Commons
先っちょまん丸でかわいいですね。
そしてこいつらはケカビという名の通り集落がふさふさなんです。
↓Mucor属の発育集落。
うん、わたあめみたいです。
なかなか印象的な形態と集落なので覚えやすいのではないでしょうか。
診断や菌種の鑑別については次回記事でまとめたいと思います。
ムーコル症(接合菌症)について
ムーコル症とは
ムーコル症はそのままですが接合菌の感染症です。
深部真菌感染症としては、アスペルギルス症、カンジダ症、クリプトコッカス症についで4番目に多い感染症です。
疾患の名称については以下の通り。(Wikipediaですみません。)
学術的には接合菌症が正しい呼称である[4]が、臨床医療現場ではムーコル菌症(mucormycosis)と呼ばれる[2]、接合菌症はかつての呼称との見解がある。
引用:接合菌症 - Wikipedia (2021年5月8日時点)
割とムーコル症って見ますので僕はムーコル症と呼びます。
接合菌にはムーコル目とエントモフラ目があるんですが、日本ではエントモフラ症はまれなのでムーコル症と呼ばれるてるらしいですよ。
因みに、ムーコル症の起炎菌は約半数がRhizopus属です。
ムーコル症っていうのにMucor属が最多じゃないんですね。
感染経路
主な感染経路は、カビの胞子を吸い込むことに経気道感染です。
他に消化管からの感染も推測されています。
病型
症型については、
最多の病型は、鼻脳型で、副鼻腔から感染が始まり、眼窩や口蓋を巻き込み、脳へと波及する。その他、肺型、皮膚型、消化管型がある。また、極めてまれな病型とて、各種病型から続発する播種性ムーコル症がある。 まれに外傷などに続発する限局性の皮膚型ムーコル症を除けば、急性に進行し、最も予後不良な真菌症であり、大多数は致死的転機をたどる。
引用:国立感染症研究所HP「ムーコル症について」
とされています。
まん丸なかわいい見た目とは裏腹に恐ろしい奴らです。
因みにムーコル症は日和見感染型ですので、患者背景には免疫不全の存在があります。
治療
ムーコル症治療の特徴は、治療薬が限られていることです。
治療については、以下の通りです。
治療は化学療法と同時に病巣の切除あるいはデブリドマンを行う。化学療法としては、本邦で使用可能な抗真菌薬のうち、アゾール系抗真菌薬やキャンディン系抗真菌薬は無効であり、AMPH-B(脂質製剤も含む)が第一選択となる。
引用:国立感染症研究所HP「ムーコル症について」
そう、接合菌はアゾール系やキャンディン系の抗真菌薬が無効なんです。
鑑別の難しい真菌症であるアスペルギルス症ではアゾール系のボリコナゾールが第一選択薬ですので、このボリコナゾール投与中患者におけるブレイクスルー感染症としても問題となっています。
最後に
はい、接合菌についてやりました。
接合菌は感染症も引き起こしますが、我々の生活に前向きにも利用されています。
接合菌は微生物の認定試験に出ていましたので、次回は久しぶりに認定試験過去問でもやりましょうか。
では、お疲れ様でしたー!