こんにちは!
先日、焼き芋サンドを食べました。
フルーツサンドは良く見ますが、焼き芋は個性がありますね!
品種は紅はるか、とっても美味しかったです!
さて、今回はPK-PDの観点から抗菌薬を分類してまとめたいと思います。
薬剤師さんほど詳細にはまとめられませんので、臨床検査技師や看護師さんも知っておくべき代表的な抗菌薬を端的にまとめたいと思います。
ご了承ください。
目次
PK-PDとは
まずPK-PDとは何か。
ガイドラインでは以下の様に説明されています。
抗菌薬における PK/PD とは,薬物動態を意味する Pharmacokinetics(PK)と薬力学を意味する Pharmacodynamics(PD)を組み合わせて関連づけることにより,抗菌薬の用法・用量と作用の関係を表し,抗菌薬の有効性や安全性の観点から,最適な用法・用量を設定し,適正な臨床使用を実践するための考え方である。
引用:日本化学療法学会「抗菌薬のPK/PDガイドライン」
PK-PDってとっつきにくいですよね。
僕は研修会でPK-PDの話が出てきても、気でも失ってたんじゃないかってくらい話が頭に定着しませんでした。
勉強しようとすると、AUCやCmaxなど様々なパラメータが出てきますが、今回はざっくりと
- PK(薬物動態学):薬剤の動態→時間と量が関与
- PD(薬力学):薬剤の作用→殺菌性か静菌性か
これくらいに考えて、それらを元に適切な用法・容量を考えるのがPK-PDだと捉えておきましょう!
これらの観点から考えると、抗菌薬は大きく
- 時間依存型
- 濃度依存型
の二つに分けることができるんです。
では、これらがどういう特徴を持っていて、それゆえにどんな投与設計がされているのか見ていきましょう!
時間依存型抗菌薬
時間依存型の抗菌薬の特徴は、以下の通りです。
- 有効な濃度を長時間保つほど抗菌力が強くなる
- 一定の濃度以上では、それより濃度を上げても抗菌力は強くならない
有効性の指標とされるのがTime above MICです。
MICは最小発育阻止濃度ですので、「発育を阻止する最小濃度以上の時間がどれだけあるか」、これがTime above MICとなります。
勉強するとここで必ずグラフが出てくるのですが、割愛します。
時間依存型に分類されるのは、
などです。
これらの薬剤は、投与間隔を短くして濃度の低下を防ぐように投与設計がされます。
そう、クリニックで処方される時に、例えば「朝昼晩3回飲んで下さいね」って言われるのはこれらの抗菌薬達だったんですね。
自分はクリニックに行くと、βラクタム薬のセフェム系抗菌薬をこのパターンで処方されることが多い気がします。
濃度依存型抗菌薬
濃度依存型の抗菌薬の特徴は、以下の通りです。
- ある値(Cmax)まで濃度を高くすればするほど抗菌力が増す
- 高い濃度であれば短時間でも抗菌力を発揮する
投与される濃度が高ければ時間はさほど重要じゃない、一発ノックアウトのイメージです。(とはいえさすがに投与が一回っきりで済むわけではありません)
濃度依存型に分類されるのは、
などです。
これらの薬剤は、一回投与量を増やして血中濃度を上げるように投与設計されています。
クリニックで処方されることが多いキノロン系抗菌薬のレボフロキサシンなんかは、大きめの錠剤を一日一回飲めばOKですよね!
認定試験過去問
補足したいことがあるので認定微生物検査技師の認定試験もやります。
引用:臨床微生物学会HP 認定臨床微生物検査技師試験2014年度試験問題
ここまでの流れで行くと、
時間依存型
アンピシリン、バンコマイシン、クリンダマイシン、セフトリアキソン
濃度依存型
シプロフロキサシン
ですので、「時間依存型は半減期が短いから時間依存型なんだ、つまり半減期が長いのは濃度依存型のシプロフロキサシンだ」と考えてしまいがちですが、それは罠です。
時間依存型は確かに半減期が短いものが多いですので、イメージとしては合っています。
しかし、物事には例外があります。
その例外として覚えておくべきは、セフトリアキソンの半減期8時間です。
他の時間依存型抗菌薬の半減期は、投与法にもよるのですが
- アンピシリン:1時間未満
- バンコマイシン:5~6時間
- クリンダマイシン:1時間未満~2時間半
ですのでセフトリアキソンはこれらに比べて半減期が長いのが特徴となっています。
因みに、濃度依存型のシプロフロキサシンの半減期は4~5時間程度です。
認定試験に限らず試験問題の多くは、「基本を押さえていれば解ける問題」か「例外を知っていれば解ける問題」のどちらかだと思います。
今回は後者の問題でしたね。
最後に
はい、どうだったでしょうか。
医師や薬剤師の方が見ると学生の基礎レベルかもしれませんが、PK-PDの観点からの抗菌薬分類でした。
最後の試験の例外を抑えるパターンは、抗MRSA薬のダプトマイシンが肺の感染症には使えない(肺サーファクタントで不活化される)ことなんかも出やすそうですね。
覚えておきましょう!
では、今回はここまでです。
お疲れ様でしたー!