医世界で学ぶ微生物

臨床検査技師が感染症を勉強するブログ

【鑑別と感染性心内膜炎の治療】Enterococcus属

こんにちは!

先日医療従事者への労いで、市内の温泉ホテルから日帰り入浴券を頂きましたので入ってきました。

これは湯の花の足湯です。

 

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たまに日帰り温泉施設には行きますが、温泉旅館やホテルとなると市内にはそう泊まりません。

このホテルにも初めて行きましたが、離れの入浴場が小さめのサイズ感にレトロな木の造りでとても風情があり最高でした。

コロナの影響で観光客が少なく、経営が厳しい中無料券を下さり感謝です。

リフレッシュしたのでまた頑張りたいと思います!

 

では、今回はEnterococcusについて認定試験問題をやりたいと思います。

 

目次

 

Enterococcus

Enterococcus属は健常人の腸管内正常細菌叢を構成する菌のひとつです。

  • グラム陽性のレンサ球菌
  • 無芽胞
  • 莢膜なし
  • 胆汁エスクリン寒天発育(+)
  • カタラーゼ(-)
  • LAP(+)
  • PYR(+)
  • VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)は5類感染症、7日以内に届け出が必要

ただし、非定型のEnterococcus、即ちE. saccharolyticus、E. cecorum、E. columbaeはPYR(-)です。

VREに関しては、プラスミド性で院内感染対策の必要があるvanA、vanBと染色体性のvanC、vanDを区別して覚えます。

それぞれVCM・TEICの耐性度や菌種に特徴がありますので、表を引用しておきます。

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引用:NIID 国立感染症研究所HP バンコマイシン耐性腸球菌感染症

 

 

認定試験①

2014年 認定臨床微生物検査技師 試験問題

 

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引用:一般社団法人日本臨床微生物学会HP 認定臨床微生物検査技師制度

 

Enterococcus属の鑑別問題ですね。

認定試験は、普段出会あう頻度が低いマイナーな菌達がたくさん出てきます。

その中でEnterococcus属のような馴染みのある菌が出てくるとほっとします。

Enterococcus属の鑑別は主に運動性、色素産生性、アルギニン、アラビノースを用います。

これは国試や二級資格試験でも出るような問題ですね。

運動性→色素産生→アルギニン・アラビノースで選択肢の5菌種を鑑別できます。

答えはc E. faecalisです。

運動性

運動性(+):E. casseliflavus、E. gallinarum

運動性(ー):E. avium、E. faecalis、E. faecium

 

色素産生性

黄色色素産生:E. casseliflavus

色素産生(ー):E. casseliflavus以外

選択肢以外にはE. flavescensも黄色色素産生です。

 

アルギニン

アルギニン(+):E. avium以外

アルギニン(-):E. avium

選択肢以外では、E. raffinosusがアルギニン(-)です。

 

アラビノース

アラビノース(+):E. faecalis以外

アラビノース(-):E. faecalis

 

認定試験②

2014年 認定臨床微生物検査技師 試験問題

 

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 引用:一般社団法人日本臨床微生物学会HP 認定臨床微生物検査技師制度

 

認定試験は治療に関する問題出ます

MRSA薬とか真菌の治療とか勉強した方が良いです。

この問題は、Enterococcus属の知識というより感染性心内膜炎(IE)の治療を知っているかいないか、それに限ります。

 

Enterococcus属の感染性心内膜炎

まずは、Enterococcus属の感染性心内膜炎についてですが、

 

腸球菌は IE の原因菌の約 10% を占め,レンサ球菌,ブドウ球菌についで第 3 位である.

高齢者に多く,医療関連の発症も少なくない 88, 89).

死亡率はブドウ球菌より低いものの,VGSより高い.IE の原因腸球菌のうち Enterococcus faecalis が 90% 以上を占める.

 

引用:感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン

 

上記の通り、Enterococcus属は感染性心内膜炎の起炎菌第3位です。

一番多い菌種はE. faecalis

まず、Enterococcus属の治療の薬剤感受性として、

  • E. faecalisはアンピシリン(ABPC)感性
  • E. faeciumアンピシリン(ABPC)耐性
  • Enterococcus属はセフェム系薬耐性傾向

これらを前提として覚えましょう。

 

そして、感染性心内膜炎の治療は薬剤の相乗効果を期待して薬剤の併用を行います。

具体的には、β-ラクタム系薬とアミノグリコシド系薬を併用します。

細胞壁合成阻害効果のあるβ-ラクタム系薬によって細胞壁透過性が生じるため、アミノグリコシド系薬の細胞内への取り込みが促進されます。

相乗効果が期待できるとされているのは、原因菌株のMIC値がGM<500μg/mLである場合と言われています。 

 

E. faecalisはアンピシリン(ABPC)感性ですので、答えはaアンピシリンとcゲンタマイシンです。

これがE. faecalisではなく、E. faeciumだった場合は、抗MRSA薬を用いバンコマイシンVCM)とゲンタマイシン(GM)の併用などになります。

 

Enterococcus属以外の感染性心内膜炎

感染性心内膜炎は、原因菌種と抗菌薬感受性、そして罹患弁が自己弁か人工弁かによって抗菌薬が選択されます。

例えば、選択薬の基本はペニシリン系薬ですが、S. aureusではセファゾリン(CEZ)が選択されます。

MRSAであれば抗MRSA薬のバンコマイシン(VCM)やダプトマイシン(DAP)が第一選択となります。

同じく抗MRSA薬であるリネゾリド(LZD)は感染性心内膜炎への適応はありません。

このような他菌種の対応などが「感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン」にまとめてあります。

無料でPDFがダウンロードできますので、検索してみて下さい。

 

終わりに

はい、Enterococcus属でした。

2014年はEnterococcusの基礎と治療、どちらも出たんですね。

認定試験の過去問は一年分しかないのでこの一年分だけでは傾向はつかめません。

しかも範囲は、例えばCRPやβ-Dグルカンなどの生化学検査もあれば院内感染対策感染についてなど微生物検査技師が関わる全てです。

広く勉強していくしかないですね。

 

では、お疲れさまでした