こんにちは!
先日いつものごとくコロナPCRの休日呼び出し対応で仕事に行きました。
その帰りに喫茶店横を通ったのですが、中のお客さんたちが皆ちゃんとマスクをして会話していました。
てっきり飲み物を飲むときにマスクを外して、あとはそのままなのかと思っていましたが、しっかり感染対策の意識を持っているんですね。
なんだか良いニュースを見た時のような心が少し軽くなる気持ちがしました。
さて、今回は接合菌について久しぶりに認定試験をやりましょう!
目次
認定試験過去問
引用:臨床微生物学会HP 認定臨床微生物検査技師試験2014年度試験問題
はい、どうでしょう。
これはぱっと見で接合菌だとわからなくてはいけません。
問題なのはMucor sp.なのか、Rhizopus sp.なのかです。
ではその鑑別をまとめていきましょう。
接合菌の鑑別
ポイントとなるのは仮根の有無です。
仮根というのはこれです。
引用・改編:臨床微生物学会HP 認定臨床微生物検査技師試験2014年度試験問題
Mucor sp.とRhizopus sp.の胞子嚢(先端の丸い部分)は区別がつきません。
また、Rhizopus sp.は胞子嚢の下にアポフィシスという胞子嚢の受け皿みたいなものがあるのですが、これもほとんど目立たないため鑑別には使えません。
ということで仮根の有無が頼りとなります。
仮根有無による鑑別は以下の通り。
仮根有り:Rhizopus sp. Rhizomucor sp. Lichthemia sp.
仮根無し:Mucor sp.
ということで、もう答えは分かりましたね!
おまけにRhizopus sp.とRhizomucor sp.の鑑別もやっておきましょう。
はい、僕のへたくそな手書きです。
上図のように、
胞子嚢柄
分岐有り:Rhizomucor sp.
分岐無し:Rhizopus sp.
胞子嚢柄と仮根の位置
対生:Rhizopus sp.
非対生:Rhizomucor sp.
といった感じになっております。
他の選択肢
今回ここで細かく解説はしませんが、他の選択肢も形態だけは見ていきましょうね。
イメージをつけておきましょう!
糸状菌の代表、 Aspergillus sp.のきれいな写真
引用:Fun With Microbiology (What's Buggin' You?): Aspergillus fumigatus
Penicillium sp.はほうきのイメージ
引用:The role of penicillium fungi in daily life – Mysuru Today
白癬の原因菌の一つであるTrichophyton sp.
引用:File:Trichophyton mentagrophytes PHIL22306.png - Wikimedia Commons
回答
ということで、答えはd. Rhizopus sp.でした!
正直僕は職場の臨床検体で接合菌に出会ったことがありませーん。
最後に
今回紹介の過去問選択肢にない接合菌としてCunninghamella sp.というのがあります。
Cunninghamella sp.は通称クスダマカビ。
欧米や亜熱帯地域に比べ、日本ではCunninghamella属の感染症報告は非常に少ないようですが、中には健常人に発症した肺感染症の報告もあります。(日呼吸会誌 39(10),2001.)
Cunninghamella属も特徴的な形態ですので一度見ておけば印象に残るはずです。
糸状菌は様々な特徴的形態が見られて楽しいですね!
では今日はここまで。
お疲れ様でしたー!