医世界で学ぶ微生物

臨床検査技師が感染症を勉強するブログ

【敗血症の定義】血液培養①

こんにちは!

ついに緊急事態宣言が解除されました。

ついに、というかこんなに早く解除可能な状況になるとは思っていませんでした。

油断はできませんが、ひとまずほっとした気持ちです。

感染対策は継続しつつも、感染拡大の可能性が比較的低い行動から少しずつ自粛を緩和していきましょう。

夏には鮎釣りがしたい!出来ますように!

 

さてさて、今回は原因不明な感染症の原因微生物を特定する方法として、最も重要といっても過言ではない血液培養について勉強します!

 

敗血症とは

敗血症の定義

日本版敗血症ガイドラインもこれを踏襲し、敗血症は「感染症によって重篤な臓器障害が引き起こされる状態」、敗血症性ショックは「敗血症の一分症であり、急性循環不全により細胞障害および代謝異常が重度となり、死亡率を増加させる可能性のある状態」と定義されました。

 

 

引用:敗血症.com HP 【敗血症診断の歴史】 

 

ふむふむ、敗血症とは感染症のうち臓器障害を伴う全身性炎症反応症候群(SIRS)のことをいうんですね。

敗血症の定義には、感染症の原因菌が検出されるかどうかについては触れられていません。

一過性、あるいは持続性に関わらず血液培養で菌が検出され、血液中に菌が存在する状態は菌血症といいます。

菌血症は感染症ですが、菌血症だからといって臓器障害やSIRSがなければ敗血症とはならないのです。

 

敗血症の診断

敗血症の診断基準は、「感染が疑われ、SOFA総スコアが2点以上急上昇したもの」とされています。

以前はSIRSスコアが用いられていましたが、それでは呼吸が早く体温が高ければ基準を満たしてしまうため見直されたようです。

 

引用:敗血症.com HP 【敗血症診断の歴史】

 

ただこれ、なかなか覚えられませんよね。

そもそもSOFAスコアとは集中治療室のにおいて使用されるものらしく、集中治療室以外での敗血症診断の方法が考えられました。

それがquick SOFAスコア(qSOFA)です。

qSOFAでは、何らかの感染症が疑われる状態で、

  • 意識変容がGCS15未満
  • 収縮期血圧100 mmHg以下
  • 呼吸数22/分以上

のうち2項目を満たすかどうかで判断します。

簡易化されていてうれしいですね。

 

血液培養検体の採取

採取時期

採血は、抗菌薬投与前に行うのが原則です。

投与してしまっている場合は、

 

一時中止(1~3日)後行う。なお、中止できない場合は血液中の抗菌薬濃度が最も低い時期(次回の抗菌薬投与の前)に採血する。

 

 引用:血液培養検査ガイド(編集  一般社団法人日本臨床微生物学会、2013年12月10日発行)

 

とあります。

また、血液培養ボトルの中には抗菌薬成分吸着剤レズンが入っており、薬剤の効果を弱めた上で培養することが可能なものがあります。

採血の最適なタイミングは悪寒戦慄が出現し始めた時や発熱の初期です。

この時が一番血液中の菌量が多いとされています。

 

採取部位

採血は2ヶ所から行います。

通常は左右の正肘静脈から行われます。

血管内留置カテーテルからの採血はコンタミネーションのリスクが上がるため原則避けます。

2ヶ所から採血することで、

  • 検出菌がコンタミネーションなのか原因菌なのか判断しやすくなる
  • 検出感度があがる

上記2点の効果が期待されます。

皮膚の消毒は一般的には、最初にアルコールで消毒し、続いてポピドンヨードで消毒する方法が用いられています。

しかし、ヨード剤は新生児に有害作用しやすい可能性があるので、新生児はアルコール消毒を2回行います。

 

採血量

 成人の採血量は1回あたり20~30mLが適当とされています。

この20~30mLを好気ボトルと嫌気ボトルそれぞれに半量ずつ分注します。

血液培養1回につきこれを2セット、計4ボトル分を採取します。

採血量は、ある一定量まで菌の検出感度と相関があります。

採血量10mLに対し30mLでは検出率が47%も上昇したとの報告がありました。

しかし、30mLと40mLでは7%しか検出感度が変わらなかったようです。

乳幼児と小児は体重に応じた推奨採血量に合わせて採取量を変えます。

私が働いている病院では、小児科検体はほとんどが1セットのみの採取です。

 

終わりに

疑問なんですけど臨床検査技師で血液培養の採血を行っている方ってどれくらいいるんでしょうね。

採血室での採血を担当している方は多いと思いますが、血液培養を採取する割合の高い病棟や救急室で採血を行っている臨床検査技師は少ないのではないでしょうか。

因みに、以前検査技師の採血量は法律上20mL以内となっていましたが、

 

「患者の体調等を考慮したうえでの医師の指示のもとでは、臨床検査技師は必要に応じて20mlを超える採血を行うことが許容される」ことが、公式に確認されたことになりますので、関係各位にご報告申し上げます。

 

引用:日本臨床検査標準協議会(JCCLS)HP 専門委員会報告

 

今はこの通り。

ただ、血液培養の採取はその場で必要かを判断し速やかに行う必要がありますので、現状はやはりその場に居合わせる看護師さんが採取するのがスムーズかもしれませんね。

とはいえ、正確な検査は正しい検体採取から始まりますので、検体採取の条件や方法は当然勉強しておかなければなりません。

血液培養はまだまだまとめることがありますので、今回はここまでにして記事を分けたいと思います。

 

では、お疲れさまでした!