医世界で学ぶ微生物

臨床検査技師が感染症を勉強するブログ

【ノロウイルスの特徴は】食中毒の原因微生物②

こんにちは!

前回に引き続き、食中毒の病原微生物について勉強していきます。

今回は特にウイルス性食中毒の代表であるノロウイルスについて掘り下げていきます。

試験に出ることがポイントですので、まずは二級資格試験を1問紹介して、そこから各論的にやっていきたいと思います。

 

目次

 

二級資格試験

平成25年(2013年)第100回二級臨床検査士資格認定試験

 

5. ノロウイルスについて正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 吐物によるエアロゾル感染を起こす。
  2. 10~100個のウイルス粒子で感染する。
  3. 消毒には消毒用エタノールが有効である。
  4. ヒトに感染するのはgenogroupⅢである。
  5. 症状の改善とともにウイルスの排出はなくなる。

 

 引用:高木康、他(2014)『検査と技術 Vol.42 no.4』医学書院(379)

 

どうでしょうか?

ノロウイルスの感染経路、感染力、予防等の知識を問う問題ですね。

先に言ってしまいますが、答えは1、2です。

では、そこにたどり着くまでを勉強していきましょう。 

 

ノロウイルスとは

ノロウイルスは、もともとは小型球形ウイルス(small round-structured virus:SRVS)として発見され、2002年にノロウイルス属に統一されました。

Genogroupは5つに分類され、このうちヒトに病原性を示すのは、GⅠ、GⅡ、GⅣです。

エンベロープがありませんので、エタノールなどのアルコール系消毒薬は有効ではありません

では、何を使うか。

それは次亜塩素酸ナトリウム、商品的にはハイターです。

エンベロープの有無とアルコール系消毒薬との関係については頻出問題ですね。

 

さて、小型球形ウイルスという名前の由来となるサイズですが、どのくらい小型かといいますと、直径はなんと約0.00003㎜です。

これはウイルスの中でも特に小さくインフルエンザウイルスの約3分の1のサイズになります。

この特に小さいという性質がノロウイルスの感染経路の特徴へとつながります。

 

 ノロウイルスの感染経路

ノロウイルスの感染経路は、

  • 経口感染:二枚貝などの汚染食品
  • 接触感染:感染者の吐物や下痢便の処理
  • 飛沫感染:感染者の吐物の飛沫
  • 空気感染:空気感染の1種である塵埃感染を起こす

これらが知られています。

特に気になるのが空気感染についてですが、空気感染は飛沫核感染と塵埃感染の2種類があります

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引用:大阪大学医学部付属病院 臨床検査部 感染微生物免疫検査部門HP

ノロウイルスは、塵埃感染を起こすとされています。

とても小さいため環境表面を媒介物として舞い上がり感染するようですね。

 

さて、問題ではエアロゾル感染という言葉が用いられています。

では、エアロゾルとは何か。

エアロゾル粒子の性状は,粒径や化学組成,形状,光学的・電気的特性など多くの因子によって表され,きわめて複雑です。その上,例えば粒径についていえば,分子やイオンとほぼ等しい0.001μm=1nm程度から花粉のような100μm程度まで約5桁にわたる広い範囲が対象となり,

 

引用:日本エアロゾル学会HP

要は定義する範囲が広いということです。

飛沫感染と空気感染(飛沫核感染)の区別の基準となる大きさは5μmです。

エアロゾルという言葉を用いるとどちらも含まれるわけですね。

 

また、経口感染は主に二枚貝の摂取によって起こりますが、ノロウイルス二枚貝で増殖するわけではありません。

ノロウイルスの増殖場所はヒトです。

ヒトで増殖したノロウイルスは、嘔吐物や下痢便として排出され、下水、河川、そして海へと流れたどり着きます。

そして海で大量の海水をろ過しながら成長する二枚貝に集められるわけです。

通常、細菌などの病原微生物は下水処理の時点で除去されますが、ノロウイルスは非常に小さいため100%の除去は現時点では無理なようです。

 

ノロウイルスの感染力

感染力は非常に強いです。

10~100個程度で感染するとされています。

食中毒の病原体別感染力のまとめは以下の通り。

引用:新潟薬科大学 応用生命科学部 食品安全学研究室HP

感染者の嘔吐物や下痢便には1gあたり10億個以上ノロウイルスが含まれているそうです。

となると、単純計算でその1gで10万人以上を感染させることができます。

さらに、感染者の症状が消失しても、ウイルスの排出は終わりません。

症状消失から1~2週間はウイルスの排出が続きます

免疫力の低下した小児や高齢者などでは1~2か月続くこともあるそうです。

恐ろしい感染力ですね。

こうなるとノロウイルスの症状が、死に繋がる重篤なものではなく、食中毒程度でまだ良かったと思えてきます。

 

終わりに 

はい、ノロウイルスについてやりました。

こうやってその恐ろしさを勉強しても季節がくればまた生ガキ食べてしまうんですよね。

あれ美味しいんですもん。

でもせっかく勉強したので、食べるのは自分が元気いっぱいな時だけにし、また食べる量は一回あたり数個までにしたいと思います。

感染症は自分の免疫力が病原微生物の感染力に負けた時に発症しますからね。

 

因みに、カリシウイルス科には他にサポウイルス属サッポロウイルスがあります。

名前の通り札幌市で幼児に集団発生した胃腸炎の原因ウイルスです。

病原性はノロウイルスと同じですので覚えておきましょう。

 

では、お疲れさまでした!