こんにちは!
コロナ自粛の影響で、多くの飲食店がテイクアウトを始めましたね。
アプリ注文による食事の配送サービス「ウーバーイーツ」も大人気みたいです!
ただ、最近気温も上がってきており、食中毒に注意喚起する記事を目にしました。
テイクアウトでなんとかやりつないでいる飲食店も、食中毒によって営業停止になってしまったら本当に潰れてしまいます。
そこで今回は、食中毒の原因微生物について勉強したいと思います。
目次
食中毒の統計
令和元年 病因物質別月別食中毒発生状況
引用:厚生労働省HP 食中毒統計資料
令和元年(2019年)は、
食中毒事件 1061件
患者数 13018名
でした。
毎年安定して多い食中毒の原因微生物は以下の2つです。
- Campylobacter jejuni/coli
- ノロウイルス
次に、微生物の分類ごとに見ていきます。
細菌性食中毒
Campylobacter coli/jejuniは、主に加熱不十分な鶏肉を食べて感染します。
他に多いのは、Salmonella属やC. perfringens(ウェルシュ菌)、Staphylococcus aureus、EHEC(腸管出血性大腸菌)などですね。
細菌性食中毒で覚えるポイントは、
感染型か毒素型かです。
感染型
感染型食中毒は、食品と共に接種した細菌が腸管内で増殖し生じます。
原因は、主にグラム陰性桿菌の外膜の主成分であるリポ多糖体です。
つまり、増殖された菌体そのものが病原因子ということですね。
この細菌に含まれている毒素を内毒素と呼びます。
菌が増える時間が必要であるため、症状が出るまでに半日から一日以上かかります。
感染型の微生物はこれらです。
- Campylobacter coli/jejuni
- Salmonella属
- EHEC(腸管出血性大腸菌)
毒素型
毒素型食中毒は、食品に付着している細菌が産生した毒素を接種して生じます。
このタイプの毒素を外毒素と言います。
S. aureusの外毒素であるエンテロトキシンは耐熱性であり、やっかいなことに加熱しても毒性の除去はできません。
食品の加熱処理で細菌は死滅しますが、すでに産生されていた毒素は不活化せず、食中毒を起こします。
予防として調理前食材の汚染と室温放置を避けなければいけません。
C. perfringensも外毒素を産生しますが、この菌は感染してから毒素を産生します。
感染して増殖しつつ害を為すという点では、感染型に近い性質を持つ菌ですね。
毒素型食中毒は、接種してから発症までが短く、半日以内のものが多いです。
ウイルス性食中毒
ノロウイルスは件数に対して患者数が多いですね。
ノロウイルスはカキなどの二枚貝の摂取で感染することは有名ですが、他に感染者の調理や発症者の嘔吐物の処理などでの感染も多くあります。
消毒薬についての記事で触れましたが、ノロウイルスはエンベロープが無いのでアルコール消毒薬は効きません。
次亜塩素酸ナトリウムを用いて消毒します。
ウイルス性食中毒は他に、ロタウイルス、アデノウイルス、エコーウイルス、そしてブタ、イノシシ、シカの加熱不十分な肉を食べて感染するE型肝炎ウイルスなどがあります。
寄生虫による食中毒
あまり見慣れないかもしれませんが、毎年注目されるのはアニサキス、クドア、サルコシスティスの3種類くらいですので覚えましょう。
寄生虫は、教科書などで文字で読んでも覚えにくいですが、写真で見るとインパクトがありますので引用していきます。
アニサキス
アニサキス幼虫が寄生している生鮮魚介類を生(不十分な冷凍又は加熱のものを含みます)で食べることで、 アニサキス幼虫が胃壁や腸壁に刺入して食中毒(アニサキス症)を引き起こします。
事業者の皆さまへ
◆ 新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除いてください。
◆ 魚の内臓を生で提供しないでください。
◆ 目視で確認して、アニサキス幼虫を除去してください。
◆ 冷凍してください。 (-20℃で24時間以上冷凍)
◆ 加熱してください。(70℃以上、または60℃なら1分)
中体が胃壁に潜り込んでいくので激しい痛みを生じるそうです怖い。
感染した場合は、内視鏡的に虫体を摘出します。
クドア
Kudoa septempunctata(以下、「クドア」という。)は、ヒラメに寄生するクドア属の寄生虫(粘液胞子虫)の一種です。
クドアは、-20℃で4時間以上の冷凍、または、中心温度75℃5分以上の加熱により病原性が失われることが確認されている
引用:厚生労働省HP クドアによる食中毒について
症状は一過性の嘔吐や下痢で、軽症が多いようです。
ところでこのクドア、寄生虫ですが花のようなきれいな見た目ですよね。
そして何より名前がとても好きです。
クドア・セプテンプンクタータという名前がかわいいですね。
セプテンプンクタータ
もうパワーワードですよね。
セプテンでプンクなタータさん。
口に出したくなりませんか?言いたくなりませんか?
くどあせぷてんぷんくたーた。
プンクーッ!プンクプンクプンク!!
すいません。
サルコシスティス
【馬肉中のシスト】
【ブラディゾイト】(ギムザ染色)
引用:東京都福祉保健局HP 食品衛生の窓
サルコシスティス・フェアリー(Sarcocystis fayeri)は馬肉を食べて感染します。
馬肉中のシストの中に多数のブラディゾイトが入っています。
食後数時間で一過性の嘔吐、下痢などを生じます。
クドア同様軽症例がほとんどです。
マイナス20℃48時間以上で毒性は失活するようです。
人には寄生しません。
終わりに
以上、今日は食中毒の原因について勉強しました。
予防については厚生労働省がHPにて広告や動画で伝えてくれていますので、ぜひご覧ください。
基本的に食材の汚染を防ぐ、食材の常温放置をしない、加熱処理する、調理後に長時間常温放置しない、これらのことが大事です。
細菌性食中毒は補足したいことも多いので、いずれ試験問題をやりたいと思います。
では、お疲れさまでした!