さて、やりますか。
今回は認定試験です。
認定試験
2014年 認定臨床微生物検査技師 試験問題
問題 23 日本における市中感染型 MRSA の特徴で正しいのはどれか。2 つ選べ。
a 菌血症が多い。
b 高齢者に感染症を引き起こす。
c SCCmec のタイプはⅣ、Ⅴ型が多い。
d 好中球溶解毒素(PVL)産生株が多い。
e 多剤耐性傾向が低い。
引用:一般社団法人日本臨床微生物学会HP 認定臨床微生物検査技師制度
どんな印象受けるでしょうか?
僕は当時、試験勉強を始めるにあたってまず問題を見ましたが、正直全然わかりませんでした。
これは古い教科書には書いていませんし、新しい教科書にも遺伝子型までは詳しく書いていないでしょう。
そうなんです。
認定試験は教科書だけをやっていても解けない問題が出てきます。
では、教科書的知識に加えて何をしていけばいいのか。
それは、ガイドラインです。
ガイドラインは微生物検査だけに関わらず、あらゆる検査、さらにはあらゆる医療行為においての指針です。
認定試験を通して、ガイドラインを勉強する機会を誘導的に与えてくれているわけですね。
優しい!ありがとうございます。
この問題に関しては、公益社団法人日本化学療法学会・一般社団法人日本感染症学会の「MRSA感染症の治療ガイドライン 2019 年改訂版」を読むと全部書いてあります。
たぶん。
その要点整理のようなものがこの問題ですね。
まずMRSA は、
- 院内感染型 MRSA(HA-MRSA;haelthcare-associated MRSA)
- 市中感染型 MRSA(CA-MRSA;community-acquired MRSA)
- 家畜関連型 MRSA (LA-MRSA:livestock-associated MRSA)
に分けることができます。
CA-MRSAは当初院内で耐性化されたMRSAが市中に持ち込まれたと考えられていたみたいですが、遺伝子解析の結果ルーツが別だったようです。
はい、まとめの表がありました。
これがまんま解説ですね。
流行、好発年齢や性差、感染部位、そして病態と治療。
感染症を勉強する上でポイントとするべき点がまとめられています。
細菌学的には遺伝子型がⅠ、Ⅱ、Ⅲのものが院内感染型、Ⅳ、Ⅴのものが市中感染型です。
好発の感染者は院内感染型が高齢者なのに対して、市中感染型は小児や若年者。
薬剤感受性は院内感染型が多剤耐性傾向なのに対し、市中感染型は比較的多くの抗菌薬に感性。
同じMRSAなのに違いがはっきりしていて覚えやすいですね。
ということで、答えはcとeです。
ガイドラインでは抗MRSA薬や院内感染対策についても書いてあります。
抗MRSA薬についてもいずれ勉強したいです。
前回記事が長かったので今回はこれまで。
お疲れさまでした!